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コラム「スポーツで健康ライフ」第8回

スポーツも勉強も、子どもの能力アップは二刀流がカギ

入学や進学を機に、なにか部活をはじめたいと考えている子どもたちも多いのではないでしょうか。「部活もいいけれど、勉強がおろそかになるのは困る」という親御さんの気持ちはもっともですが、じつは運動と勉強の能力アップは比例するという説もあり、運動ができる子どもは勉強もできるという研究結果も発表されています。
今回はスポーツと子どもの成長に注目し、運動能力も学力も二刀流で高めるコツをご紹介します。

勉強ができて運動も得意な文武両道が理想的ではあるものの、最初からなんでもできる天才型の子どもはそうはいません。そもそも生まれつきなんでもできるはずはなく、勉強も運動もカギをにぎるのは「やるかやらないか」で、飲み込みの早さという部分で差が出てくると考えられています。
たとえば、小学校入学時に見られる運動の得手・不得手は、未就学時期にその運動に関わるような身体の動かし方を経験しているかどうかによって差が生まれます。走る、投げる、跳ぶなどの動作をあまり経験したことがなければ、初めてだからうまくできないのは当たり前なのです。
もしも、「自分は運動オンチだから子どももきっとそうだろう」と最初からスポーツに親しむ機会を与えないとしたら、それは子どもの可能性を潰してしまうことになりかねません。同様に「運動よりも勉強を頑張りなさい」とスポーツを楽しむことを制限するのも考えものです。

勉強と運動に共通するのは「脳で行う」という点です。走る、投げる、打つなどの基本動作を経験して脳で覚え、その記憶をスポーツの場面で引き出してさまざまなプレーに生かすという意味で、「運動も脳で行うもの」と言えるのです。
たくさんの引き出しから最適な動作を選択し、最適なパフォーマンスにつなげることができる能力は、いくつかの公式を組み合わせて算数の応用問題を解くことに通じます。
また、「できなかったことができるようになる」という喜びや達成感も脳で感じるもので、運動にも勉強にも共通する感覚です。

子どもの能力を引き出す親子遊び

メンコ遊び

地面やテーブルの上に置いたメンコを、別のメンコでひっくり返す昔あそびのひとつです。勢いよくメンコを投げる動作を繰り返すことで、自然と「どうしたらもっと強く投げられるか」と工夫するようになり、腕や身体の使い方を考えながら身につけていけます。メンコがなくてもコースターやトランプなどで代用でき、親子で気軽に楽しめるおすすめの遊びです。

バランスくずし

ふたりで向き合って立ち、ひもやタオルを引っ張りあってバランスを崩した方が負け、というシンプルなルールで行う遊びです。ひもを通じて相手の動きを感じ取る能力や、状況に応じた身体の使い方、バランス感覚を養うにも効果的です。同じような感覚で楽しめる手押し相撲もおすすめです。

おしり歩き

お尻を床につけてひざを軽く曲げ、手は床につかないようにして身体をくねらせながら「お尻で歩く」ようにして親子で競争しましょう。これは短距離走のトップ選手も練習に取り入れている動きで、普段の生活ではあまり意識しない「体幹」の使い方や走る力を向上させるのに効果的です。

風船チャレンジ

手をつないで輪になり、つないだ手や腕、肩で風船をついて地面に落とさないようリレーを続けます。頭や足を使ったり、手が離れてしまったらアウトです。手足の長さなど体格の違いや風船をつく強さ、声を掛けあうコツなど、チームプレーを体験できる遊びです。

このように、親子で気軽に楽しめる遊びを通じて「スポーツの基本動作」の土台を自然とつくっていくことで、子どもたちは運動の楽しさや上達の喜びをより感じられるようになるはずです。また、親子で身体を動かすことはコミュニケーションの増進につながり、大人にとっても脳の活性化やリフレッシュにつながる良い効果がたくさん期待できます。

私たち人間は最初に頭部が大きくなり、幼児期は脳のシナプスがどんどんと張り巡らさせる時期です。この時期にさまざまな動作を経験することで脳神経の道筋に活発に電気が通り、その動作が記憶され蓄積されていきます。記憶の仕組みは「同じ道筋に電気が通ると同じ動作が思い出される」というもので、これはかけ算を覚えるのも、ボール投げが上手になるのも、同じ仕組みです。
つまり、たくさんの遊びを通じて「身体の動かし方」を記憶すればするほどその後の子どもの成長に大きく役立ち、勉強もスポーツも二刀流で楽しくチャレンジできることにつながります。

 

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