全員の想いを繋ぎ、勝利を掴む—— 日立Astemoリヴァーレ・上坂瑠子選手インタビュー
1895年、アメリカで誕生したバレーボール。子どもから大人まで楽しめるチームスポーツとして、スポーツ少年団やママさんバレーなど、日本でも広く親しまれている競技です。日本のバレーは世界の強豪とも渡り合い、男子・女子ともに世界ランキング一桁につけています。2023年10月、日本男子代表がひと足先にパリ五輪への出場権を獲得。女子代表も残りの出場切符を目指し、5月からの国際大会に挑みます。
そんな日本バレーボールの国内最高峰リーグ・V.LEAGUE DIVISION1 WOWENに所属する日立Astemoリヴァーレ(ひたちなか市)の長内キャプテン、上坂副キャプテンにお話をうかがいました。
今回は、副キャプテンを務める上坂瑠子選手のインタビューです。
上坂瑠子選手(日立Astemoリヴァーレ・副キャプテン)
学生時代から縁のあったひたちなかへ
ご出身は福井県だそうですが、茨城はどのような印象がありましたか。
上坂選手
実は高校生の時に、春高バレー前の年末年始に佐和体育館(当時の日立リヴァーレ練習場)を借りて練習合宿するのが恒例行事だったんです。なので、高校三年間の年越しはひたちなかで過ごしていました。その佐和体育館があった場所にリヴァーレアリーナができたので、ここは高校時代の思い出の場所なんです。高校時代の合宿はすごくハードだったので、正直、入団したばかりの頃はそれを思い出してちょっと辛かったんですが(笑)それも縁だと感じています。
チームの印象はいかがでしたか。
上坂選手
入団前に練習を見学させてもらった時から驚くほどフレンドリーでした。私たちは日立Astemo株式会社の社員なのでそれぞれ部署に所属しているのですが、試合前には応援メッセージをくれたりと、会社全体としてもリヴァーレを応援してくれている雰囲気をとても感じますね。チーム内の仲も良く、オフの日は誘い合ってカフェに行ったりと、自然とコミュニケーションが取れる雰囲気があります。入団したばかりの時も、近くに何があるかも分からない私を先輩が誘ってくれて、美味しいものを食べに行ったりしました。
ひたちなか近郊でお気に入りの場所は?
上坂選手
那珂湊が好きです。シーズン中は食べられませんが、牡蠣(かき)が美味しいです。あとは、ひたち海浜公園にピクニックに行ったり。先輩たちと、お弁当を作って芝生の広場でのんびり過ごしたりしてますよ。ひたち海浜公園は結構リヴァーレの選手は遊びに行ってると思います(笑)
ひとつのボールを全員で繋いで決める一点
バレーボールを始めたきっかけは?
上坂選手
最初は兄ふたりに続く形で柔道をやっていたんです。でも、全然勝てなくて悔しくて…それで別のスポーツをやろうと思って、バレーボールを始めました。バレーを選んだのは、ママさんバレーをしていた母の影響です。通っていた小学校にチームがなかったので、母と一緒に少年団を立ち上げて、結成3年目・6年生の時に初めて全国大会に出場しました。
結成3年目で全国大会とは、すごいですね。
上坂選手
母が厳しく指導してくれたので(笑)毎日練習していましたね。でも、はじめ母からは「バレーはやめた方がいい」って止められたんですよ。母はバレーを長く経験していたので、辛さを知っていたからだと思います。それでも結局バレーをやることを決めたら、一生懸命教えてくれました。
バレーボールの魅力はどのようなところにあると思いますか?
上坂選手
バレーって、一人が強いだけじゃ勝てないんです。個人じゃなくて団体競技なので、お互いにカバーし合う思いやりのスポーツ。一つのボールを全員で繋いで、最後に決めることができた瞬間の喜びですね。すごく苦しいけれども、みんなの想いをボールに託して繋いで、勝った時の嬉しさ。一人では成しえないそれこそがバレーボールの魅力だと思います。
冷静な目で捉えるチームのこれからの課題
日立Astemoリヴァーレの強みはどのようなところだと思われますか。
上坂選手
粘り強さが私たちの持ち味だと自負しています。さらに、2023-24シーズンではこれまでよりもオフェンス・ディフェンス両方とも強化されていました。ファーストサイドアウト(サーブレシーブ側がサーブ一回目で得点しサーブ権を得ること)やディグ(アタックをレシーブで受けること)の成功率も、数字としてしっかり現れています。結果的には、2022-23シーズンと変わらない7位で悔しいですが、これまでより確実に成長できています。
これからの課題はどのようなところでしょうか。
上坂選手
「勝つ」ためにどうすべきか、一人ひとりが深く考えて、試合だけでなく練習の時からしっかり意識づけしていくことです。普段から仲が良くて皆優しいのもリヴァーレの魅力なのですが、やる時はやるチームでないと。チームメイトですがそれぞれがライバルでもあるので、全員で更なる高みを目指して頑張りたいです。全員が「勝利」という同じ方向を向いて取り組むことが重要だと感じています。
ぜひ一度、バレーボールを生で観てほしい
2024年1月、3月にはひたちなか市で試合がありました。やはりホームゲームは気合が入りますか?
上坂選手
どの試合も気合は入りますが、やっぱりホームゲームは特別です。チーム全員が嬉しいし、楽しいです!音響やスポットライトなど、試合の演出もどんどんレベルがあがってきているんですよ。プレーする側もテンションが上がりますね。
地元の皆さんに、ぜひ観に来ていただきいたいですね。
上坂選手
バレーボールの試合を生で観ると、惹かれる部分がたくさんあるんです!私たち日立Astemoリヴァーレの試合の見どころは、やっぱり強みでも挙げたラリーの攻防戦ですね。そして、選手に近いからこそ見えるプレイ中のそれぞれの表情にもぜひ注目してみて下さい。点を取って嬉しい時や、獲られて悔しい時、ラリー中の苦しそうな顔など…その気持ちを間近で感じて、ぜひ一体感を楽しんでほしいです。ぜひ、私たちの試合を観に来てください!
上坂 瑠子
1999年生まれ、福井県越前市出身。福井工業大学付属福井高等学校卒業後、2018年に日立リヴァーレ(現・日立Astemoリヴァーレ)へ入団。ポジションはアウトサイドヒッター。チャーミングな笑顔でチームを明るく照らす一方、高い攻撃力でオフェンスの中心的な役割を担う。副キャプテンとして長内キャプテンのサポート役としても活躍。
日立Astemoリヴァーレとは
茨城県ひたちなか市を本拠地とする、日立Astemoの女子バレーボールチーム。
「防御は最大の攻撃なり」をモットーに、拾って繋いで攻め返し、ミスの少ない全員バレーで戦うプレースタイルが特徴。
1980年11月21日に日立佐和女子バレーボール部(当時)が発足。2010年4月に日立リヴァーレに、2021年8月に現在の日立Astemoリヴァーレに改称する。
2023-24シーズンはV.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子)に所属し7位。
秋に開幕する2024-25シーズンからは、V.LEAGUE REBORNとして新しく始まるS-V.LEAGUE(SVリーグ)に参戦する。
ホームゲームは、ひたちなか市総合運動公園総合体育館や日立市池の川さくらアリーナ等で開催。
今回の取材は、本拠地・ひたちなか市にある練習場のリヴァーレアリーナで行いました。