loader image

パリ、そしてその先に向かって—— スポーツクライミング・森秋彩選手・楢崎智亜選手インタビュー

人工的に作った壁に設置された突起物を掴んで登っていく競技「スポーツクライミング」。つくば市在住の森秋彩選手と、龍ケ崎市在住の楢崎智亜選手は、パリ2024オリンピック・スポーツクライミングの日本代表内定選手となりました。
今回は、令和5年9月14日(木)に大井川知事を表敬訪問したお二人に、お話をうかがいました。

森秋彩選手・楢崎智亜選手インタビュー

人工的に作った壁に設置された突起物を掴んで登っていく競技「スポーツクライミング」。つくば市在住の森秋彩選手と、龍ケ崎市在住の楢崎智亜選手は、これまで国内外で華々しい活躍を見せ、数々のタイトルと実績を収めてきました。今年の8月にスイス(ベルン)で行われたIFSCクライミング世界選手権では森選手がリードで優勝、複合で3位、楢﨑選手が複合で3位となり、パリ2024オリンピック・スポーツクライミングの日本代表内定選手となりました。

今回は、令和5年9月14日(木)に大井川知事を表敬訪問したお二人に、お話をうかがいました。

次につながる価値ある結果

パリオリンピックへの切符がかかった8月の世界選手権を振り返っていかがでしたか。

森選手
得意のリードは途中でフォール(落下)。表彰台に上がったときは、嬉しい気持ちよりも悔しさでいっぱいでした。「この舞台で結果を残さないといけない」という焦りと不安がありましたが、負の気持ちを消し去って集中力を高め、目の前の課題をひとつずつ丁寧にこなすことができたことは良かったと思います。メンタル面で自信がついたし、技術面でも成長できたと感じています。

森秋彩選手

楢崎選手
得意とするボルダーが不調で心配な部分が多くありましたが、すべての課題を完登して個人1位で折り返すことができました。東京オリンピックでは優勝候補に挙がりながらメダルに届かず悔しい思いをしたので、緊張を跳ねのけて得た今回の3位は非常に価値のある結果だったと感じています。

茨城県での練習環境と将来への挑戦

お二人の練習環境についておうかがいします。

森選手
幼いころから地元つくば市の「スポーレクライミングジム」に通っています。最近は私が練習場に行くと「秋彩ちゃんお久しぶり!」などと声をかけられることもしばしば。アットホームな環境で多くの方に温かく迎え入れてもらえる貴重な場所です。

楢崎選手
龍ケ崎市にある妻(野口啓代さん)のトレーニングジムで練習しています。たまに秋彩さんも練習に来てくれますね。茨城県には優秀なクライミング選手が多くいますが、練習場は少ないと感じています。競技をもっと普及させていきたいので練習環境の整備は喫緊の課題です。

楢崎智亜選手

いま思い描くお二人の将来像をお聞かせください。

森選手
今は筑波大学で学びながら、教職課程を取るための勉強もしています。クライマーを目指す選手を指導するための実力と知識を身に着けたいと思っています。

楢崎選手
競技に専念するため高校卒業後はプロ転向する人も多い中で、大学に通いながら世界で通用する強さも持つ。常人ではないですね(笑)。

森選手
忙しいほうが自分に合っているんです。時間が空くと「何をしたらいいんだろう…」って不安になっちゃう。勉強と合わせて、パラクライミングの魅力についても伝えられたらと思っています。体の動きに制限があったとしても、誰もが気軽に取り組めるスポーツですし、体を動かすことでリフレッシュできる競技ですからね。

楢崎選手
僕はクライミングに使うチョークの作製など、ものづくりに興味があります。また、この競技においてはシューズが自分の発揮できる力を左右すると言っても過言ではありません。それぞれの個性に合わせたものづくりに取り組んでみたいです。また、ユース(若手)の育成にも力を入れたいです。まずは日本に拠点を置き、ゆくゆくはアジア、そしてスポーツクライミングの本場アメリカでも育成事業を展開できたらいいですね。

パリオリンピックへの抱負とふたりの交流

最後に、2024年パリオリンピックに向けた抱負や意気込みをお願いします。

森選手
私はほかの選手に比べて小柄なので、スタミナ強化の筋力トレーニングと確実に登り切るための技術が必要です。クライミング以外の動きも練習に取り入れていくつもりです。パリオリンピックまでの1年間で力強いクライミングスタイルを確立し、ベストパフォーマンスを発揮します。

楢崎選手
秋彩さんは料理が得意だから、体作りに必要な食材を使うことも意識してるんじゃない?

森選手
そうですね。私の場合、食べないとすぐに体重が減ってしまいます。軽いと有利な部分もあるのですが、スタミナ不足になりがちです。強くなるためにいろいろなものをしっかり取り入れるようにしています。

お二人とも県南地域にお住まいですし、交流もあるんですね。

楢崎選手
前に秋彩さんに料理をふるまってもらったんですよ。角煮とかカボチャのコロッケとか、結構手間のかかるメニューを作ってくれましたね。

森選手
冷蔵庫にあるもので何が作れるかな?と想像することが楽しいんです。リフレッシュになりますしね。

楢崎選手
本当に多彩な能力を持っていてうらやましいです。僕の場合は食べるものには細心の注意を払っています。すぐに筋肉がついて体が重くなるので…。パリ五輪ではもちろん、金を目指します。疲れが溜まっても全身をうまく使えるようにトレーニングを進めていきます。東京オリンピックではプレッシャーを感じすぎました。プレッシャーに負けず、それすら楽しめるような精神力を磨き上げていきます。

もり 秋彩あい

2003年生まれ、つくば市出身。茨城県山岳連盟所属。父親と一緒にクライミングを始め、小学生時代から国内外で数々の大会を制す。18年にはシニア選手を抑えてボルダリングジャパンカップで2位、リード日本選手権で優勝。21年のジャパンカップ・ボルダリングでは初優勝。好きなものは料理とSEKAI NO OWARI。

楢崎ならさき 智亜ともあ

1996年生まれ、栃木県出身。元スポーツクライマーの野口啓代さんとの結婚を機に龍ケ崎市に移住。兄の影響を受けクライミングをスタート。2016年の世界選手権はボルダリングで優勝。序盤のステップを飛ばす「トモアステップ」を確立した。登る課題を作り上げるルートセットにも取り組んでいる。

スポーツクライミングとは

東京2020オリンピックで正式競技に加わった「スポーツクライミング」。オリンピックでは人工的に作った壁に設置された突起物を掴んで登っていく競技です。東京五輪では日本人メダリストも誕生し一躍注目を浴びました。
2024年に開催されるパリオリンピックでは「スピード」と「ボルダー&リード」の2種目で競技が行われます。スピードは高さ15m、95度に前傾した壁をいかに早く登れるかを競うもの。「ボルダー&リード」はパリオリンピックで新ルールとして誕生。ボルダーでは高さ4m程度のさまざまなルートを制限時間内にいくつクリアできるか、リードは制限時間以内にどれだけ高く登れるかを競います。身体能力とテクニック、そして頭脳が試される競技です。

森秋彩選手が、杭州アジア大会スポーツクライミング複合で金メダルを獲得

中国・杭州で開催されたアジア大会、スポーツクライミングのボルダーとリードによる女子複合で、森秋彩選手が金メダルを獲得しました。

10月7日に開催された同種目において、準決勝を合計199.73点でトップの成績だった森選手。決勝が雨のために中止となり、そのまま森選手が優勝となりました。

PageTop